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私にとっては既におなじみの、例の場末の小料理屋の避暑地。
いつも通り、そこへ向かっていた。
本日は7月にして真夏日。日中気温は30℃を越している。
私のシルク質の自慢の毛並みも、あまりの高熱によりバサバサに乾いてしまいそうである。
ああ、早くあの涼しげな、暗がりの便所で涼みたい。
その一心で、あの雑居ビルへと徐に向かっていた。
辿り着くと、いつもと様子が違う予感がした。
青空の向こう側では、星々が騒ぎ、奇怪な未来予想図が脳内に描き出され、私のシックスセンスがビンビンし始めた。
そう躊躇していると、なんと!
後方の上空から轟音と共に何か鉛色の飛翔体が弧を描きながら飛来してきた。
飛翔体は、みるみるこちらへ近づいてくる。
なぜか私は逃げもせずに、屹然として立ちつすくんでいた。
自分に害が及ぶことは無いと読んだのか。
物体は私の頭上を通過し、
雑居ビルに命中し、破裂した。
ビルは5秒も経たぬうちに、あっけなく瓦解した。
目の前は、一瞬にして瓦礫の山と化したのである。
なんたることか。
テロリズム・・・これは戦争、である。
不思議なことに、周囲に被害は及んでいないようである。
標的のみ絶妙な具合で正確に粉砕された。
私の絶好の避暑地が一瞬にして消え失せた。
だが、そう戸惑いもせず、瓦礫の中から現金が埋もれていないかと貪欲さが心を侵略していった。
これも飼い主ゆずりの心境であろう。猫も飼い主に似る、のである。
やっと気づいた。
崩壊した雑居ビルの酒場の良男と康子は無事であろうか?
私は得意の人間の一億倍はある嗅覚と聴覚を駆使し、その生存反応の確認作業をしはじめた。
どうやら幸いなことに、崩壊したビルには、生命反応は見当たらず、
居住人は退避ずみだったようである。
しかし、30年来の歴史と由緒ある文化遺産は、陰残な破壊兵器によってもろとも崩れ去ってしまった。
人間の文明なんぞ、壊してなんぼであるのだが・・・
なんと愚かなことか。
そう思いに耽っていると、私の視界のずっと端のほうで見覚えのあるものが・・・
良男と康子がまたしてもつるんで大通りを闊歩していた。
元気そうでなによりである。
あの様子からみると、一度くらいは”ランデヴー”体験はあるのであろう。
後をつけていくと、果物屋の地下へと二人は下って行った。
暗がりの中で、きっとまた内緒の”秘め事”が執り行われるのであろう。
社内恋愛が悪いとは私は言っていない。
男と女とは、そういうものである。
観察していると、そのあとに続いて、以前面接にやってきた新人Boyが同じく階段を下って行った。
地下では、ちょうど戯れ事が行われている最中であろう。
若いBoyも交えて、2mans,1woman,,,いわゆる3Pを楽しむのであろう。
さすがに我々猫族でも、なかなかそういう光景にはお目にかかれない。
つくづく、人間とはテキトーでいい加減な生物である。
しかし、先ほどの歴史ある雑居ビルを破壊したテロリストは如何なる者であろう?
あのおんぼろの建物ひとつ破壊したところでこの街はビクともしない。
7.08、内部犯行陰謀論・・・
真犯人は・・?
いやいや、そんなことよりも、3Pが行われている現場を速と拝見してみたい。
私は彼らに続いて地下への階段を降りて行った。